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京都地方裁判所 昭和51年(わ)215号 判決 1976年4月15日

本籍及び住居

京都市下京区西堀川通四条下る四条堀川町二七一番地

会社役員

辻徳治郎

明治二二年九月一一日生

所得税法違反被告事件

検察官

村上恵美子出席

主文

被告人を懲役一年及び罰金一、三〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、肩書住居に居住し、株式の売買等により収入を得ていた者で、その株式売買の回数及び株数が所得税法施行令二六条二号各号(所得税法九条一項一一号イ)に規定する基準に該当し、また、株式の配当金が租税特別措置法八条の五第一項に規定する金額を超えていたのに、これらを秘匿することにより自己の所得税を免れようと考え、

第一  昭和四七年分の総所得金額は一億〇、五三三万〇、〇二八円で、これに対する所得税額は六、五〇五万二、〇〇円であるのにかかわらず、株式の売買及び配当金の受取りについて親族名義を仮装するなどの方法により株式の売買益及び配当にかかる所得を秘匿したうえ、昭和四八年三月一三日京都市下京区間之町五条下る大津町所在下京税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は四五六万一、八〇〇円で、これに対する所得税額は一七万一、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税六、四八八万一、〇〇〇円を免れ

第二  昭和四八年分の総所得金額は三、七九一万五、一四八円で、これに対する所得税額は一、八一五万六、二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の方法により株式の売買益及び配当にかかる所得を秘匿したうえ、昭和四九年三月一二日前記下京税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は四四〇万三、六二五円で、これに対する所得税額は一七万三、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税一、七九八万三、二〇〇円を免れ

第三  昭和四九年分の総所得金額は一、四六一万〇、六〇一円で、これに対する所得税額は三一九万七、一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の方法により株式の売買益及び配当にかかる所得を秘匿したうえ、昭和五〇年三月一一日前記下京税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は五四〇万円で、これに対する所得税額は一九万〇、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税三〇〇万六、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書二通

一  大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書九通

一  大蔵事務官作成の現金預金有価証券等現在高確認書

一  国税査察官作成の調査報告書一〇通(検甲第六号、同第二五号、同第三一号ないし同第三八号)

一  大蔵事務官作成の調査報告書(検甲第三九号)

一  大蔵事務官の辻博(二通)、笠原茂一、狩野利行(検甲第四〇号)に対する各質問てん末書

判示第一、第二の各事実につき

一  国税査察官作成の調査報告書一二通(検甲第七号、同第八号、同第一〇号ないし同第一三号、同第一九号ないし同第二四号)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(検甲第二号)

一  国税査察官作成の調査報告書四通(検甲第九号、同第一四号、同第一五号、同第一七号)

一  大蔵事務官の狩野利行に対する質問てん末書二通(検甲第二八号、同第二九号)

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(検甲第三号)

一  国税査察官作成の調査報告書二通(検甲第一六号、同第一八号)

判示第三の事実につき

一  大蔵事務官作成の証明書(検甲第四号)

(法令の適用)

被告人の判示第一ないし第三の各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、所定刑中それぞれ懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により最も重い右第一の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び罰金額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金一、三〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、なお情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 鈴木之夫)

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